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相続お悩み相談室①「身寄りのない内縁の夫が急死…遺産はどうなる?」

内縁の夫が死亡

こんにちは!税理士のA子です。
今回は「20年以上連れ添った内縁の夫(X氏)が亡くなり、遺言書もなく、身寄り(法定相続人)がいるかどうかも分からない」
というY子さんからご相談をいただきました。

ご相談内容

「夫は53歳で急死しました。こんなに早く亡くなるなんて思ってもいなかったので、遺言書も残していませんでした。私たちに子どもはいません。夫の両親は亡くなっています。夫には兄がいると聞いていますが、音信不通で生きているのか死んでいるのかもわかりません。」

Q1. 内縁の妻である私は、夫の財産を自動的に相続できますか?
A1. 残念ながら、法律上「当然に相続する権利」はありません。

日本の民法では、籍を入れていない「内縁の配偶者」は法定相続人になれないと定められています。遺言書がない場合、X氏の財産をそのまま引き継ぐことはできません。

まずは、X氏に本当に相続人がいないのかを調べる「相続人の存否調査」を行う必要があります。

Q2. 夫に相続人がいるかどうか、どうやって調べればよいですか?
A2. X氏の出生から死亡までを遡る「戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本」を請求して調査します。

X氏の最後の戸籍だけでは、過去の婚姻・離婚や隠れた子、兄弟姉妹の有無が分からないケースがあるためです。
ただし、内縁の妻は戸籍法上の配偶者ではないため、原則としてX氏の戸籍を当然には請求できません。

💡 解決策
 自己請求:市区町村役場の窓口で「権利行使や義務履行のために必要である正当な理由」を明記して請求します。
 専門家への依頼:弁護士や司法書士、行政書士などの専門家に依頼すれば、
         職務上必要な範囲で代わりに戸籍を取得・調査してくれます。
Q3. 調査の結果、親族が誰もいない場合は、財産はどうなってしまうのですか?
A3. 最終的には国のもの(国庫帰属)になりますが、あなたは「特別縁故者」として財産をもらえる可能性があります。

誰も相続人がいない場合、X氏の残した財産は法律上ひとつの「法人」となります。
このままでは国庫に入ってしまいますが、家庭裁判所に申し立てを行い、認められれば、内縁の妻であるあなたに財産の全部または一部が分与されます。

Q4. 具体的に財産をもらうためには、どのような手続きが必要ですか?
A4. 大きく分けて「2つのステップ」を踏む必要があります。

非常に長丁場の法的手続き(現行法で最低でも6ヶ月〜1年以上)をクリアしなければなりません。

手続きのステップ

概要と費用

【ステップ1
相続財産清算人の選任申立て

裁判所に財産を管理・清算する人(清算人)を選んでもらいます。官報に「相続人がいたら名乗り出てください」という公告を6ヶ月以上出します。
💰 費用:収入印紙800円、官報公告料約5,000円、数千円の切手代、および数十万〜100万円程度の予納金(※)。

【ステップ2
特別縁故者への財産分与請求

相続人が誰もいないことが確定した後、3ヶ月以内に「私に財産を分けてください」と裁判所に申し立てます。
💰 費用:収入印紙800円、郵便切手代。

予納金についての注意点:夫の遺産に十分な現金・預貯金があればそこから清算人の報酬が賄えるため不要ですが、遺産が不動産(自宅など)のみで現金が少ない場合、裁判所の判断で申立人(あなた)が事前に数十万円〜100万円程度のまとまった現金(予納金)を国に納める必要があります。

Q5. 裁判所に「特別縁故者」として認めてもらうためのポイントは?
A5. 20年以上一緒に暮らし、支え合ってきた「客観的な証拠」を提出することです。

裁判所での「特別縁故者に対する相続財産分与審判申立書」には、内縁関係の実態や、夫の財産形成への協力・寄与の度合いをしっかり記載する必要があります。

また内縁関係や献身的な関わりを客観的に証明するための、具体的な証拠資料が必要です。

 

📂 準備すべき主な資料例
 同居・生計一の証明:2人の住民票(同一世帯・同居期間の立証)、賃貸契約書、共同口座など。
 扶養関係の証明:あなたが夫の扶養配偶者であったことが分かる、夫の勤務先の書類や2人の健康保険証など。
 精神的・経済的支え合いの証明:2人で過ごした写真、日記、手紙、LINEの履歴など。
Q6. 無事に財産をもらえた場合、税金はどうなりますか?
A6. 税務上の「遺贈(遺言で財産をもらうこと)」扱いとなり、相続税の対象になります。

特別縁故者が遺産を引き継ぐ場合、税金面でいくつかの注意点があります。

  • 基礎控除は3,000万円のみ
  • 法定相続人が0人の扱いとなるため、相続税の基礎控除額に「法定相続人の数×600万円」の上乗せはされず、一律3,000万円となります。
  • 税額が2割加算される
  • 一親等の血族や配偶者以外の人が財産をもらうことになるため、算出された相続税額が2割増しになります。
  • 配偶者の税額軽減(配偶者控除)は使えない
  • 籍を入れていないため、法定相続分または最大1億6,000万円まで非課税になる特例は適用されません。
  • 申告期限
  • 夫が亡くなった時ではなく、
  • 「裁判所の分与審判が確定した(財産をもらえると知った)日の翌日から10ヶ月以内」に税務署へ申告・納税する必要があります。

A子先生からのアドバイス

今回のご相談者のように内縁関係の場合、遺言書がないとどれだけ長く連れ添っていようが、
お相手の方に直接財産をお渡しすることができません。

「自分が亡くなった後、お相手の方が困らないように財産を残したい」と思うのであれば、
必ず遺言書を書いてください。「自分はまだ若いし大丈夫」と考えず、1日も早い遺言書の作成をお勧めします。

浜松相続税あんしん相談室では、遺言書作成サポートも行っておりますのでお気軽にご相談ください。

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