相続お悩み相談室③ 親が貯めた子供名義の預金は相続財産?名義預金の判断基準と注意点
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こんにちは!税理士のA子です。
今回は、お父様を亡くされたTさんから「実家から自分名義の預金通帳が出てきたが、これは相続財産になるのか」というご相談をいただきました。
「先月父が亡くなりました。実家で父の遺品を整理していたら、私(Tさん)名義の預金通帳が出てきました。私が小さい頃から少しずつ貯めていて、残高が700万円ありました。両親から私名義の預金があると聞いたことがありますが、通帳は見たことがありませんでした。この通帳は、どのような扱いになるのでしょうか?」
この記事の結論(30秒で読めるまとめ)
- 口座の名義が子供(相続人)でも、実質的に亡くなった親のお金であれば「名義預金」として相続財産に含まれます。
- 判断基準は「誰がお金を出したか」「誰が通帳・印鑑を管理していたか」「贈与の手続きがあったか」の3点です。
- 相続人全員が遺産と認めれば遺産分割協議書に記載し、揉めた場合は遺産分割調停や遺産確認の訴えで解決を図ります。
- 名義預金は相続税の税務調査で最も指摘されやすい項目の一つ。申告前に専門家へ確認することが大切です。
目次
Q1. 名義が「相続人(子供)」の口座であっても、亡くなった人の遺産になることはありますか?
A. はい。預金の名義人が誰であるかに関わらず、実質的に亡くなった方(被相続人)の財産とみなされる「名義預金」にあたる場合は、相続財産に含まれます。
名義預金とは、口座の名義は子供や配偶者など家族になっているものの、実際にはお金を出した被相続人の財産と判断される預金のことです。税務上や法律上の判断では、単に口座の名義だけでなく、以下のような要素を総合的に考慮して実質的な所有者を判断します。
名義預金かどうかを判断する3つのポイント
| 判断要素 | 確認する内容 |
|---|---|
| 資金の出捐者※ | その預金の原資(元手)を誰が稼ぎ、拠出したか |
| 管理・処分の状況 | 通帳、届出印、キャッシュカードなどを誰が保管し、管理していたか |
| 贈与の意思 | 生前に適切な「贈与」の手続きがなされていたか |
※出捐者(しゅつえんしゃ)……実際にそのお金を出した人
今回のケースのように、お父様がTさんのために子供の頃からお金を貯めており、通帳をお父様自身が保管・管理していたような場合は、お父様の遺産(相続財産)として扱われる可能性が極めて高いと言えます。
Q2. もし「名義預金(父の遺産)」だと認める場合、遺産分割の手続きはどのように進めればよいですか?
A. 相続人全員が一致して遺産(相続財産)として認める場合は、その預金を対象に含めて「遺産分割協議」を行います。
話し合いがまとまったら、遺産分割協議書を作成します。その預金を誰が取得するかによって、以下のように協議書へ記載し、手続きを進めます。
名義人(Tさん)がそのまま取得する場合
協議書に「相続人全員がその預金が遺産であることを確認したこと」と「その預金をTさんが取得すること」を明記します。
他の相続人が取得する場合
銀行に対しては、名義人であるTさんが一度解約払戻の手続きを行い、払い戻したお金を取得する相続人に引き渡す、という条項を記載するのが最もスムーズで簡明な方法です。
Q3. 他の相続人と意見が食い違い、話し合いがまとまらない場合はどうなりますか?
A. 預金の帰属(誰の財産か)について主張が分かれる場合は、家庭裁判所での「遺産分割調停」や、地方裁判所での「遺産確認の訴え」へ発展することになります。
Tさんが「自分の財産だ」と主張し、他の相続人が「遺産だ」と主張する場合
他の相続人は、その預金を含めた遺産分割調停を申し立てるか、「その預金は被相続人の遺産であることの確認」を求める訴訟を提起することができます。
Tさんが「遺産だ」と言っても、他の相続人が認めない場合
Tさん側から遺産分割調停の申立てや、遺産確認の訴えを起こして決着を図ることになります。
話し合いが決裂し、お互いに感情的になってしまう前に、過去の通帳の入出金履歴などの客観的な証拠を揃えて専門家に相談することをおすすめします。
Q4. 税務調査で「名義預金」だと指摘されることが多いと聞きましたが、本当ですか?
A. はい。相続税の税務調査において、名義預金は最も厳しくチェックされ、指摘を受けやすい項目の一つです。
相続税の申告を済ませていても、後日税務調査が入り、「相続人名義の口座にお父様の資産がある(実質的な名義預金である)」と指摘され、修正申告や追徴課税(更正処分)を求められるケースが多発しています。
💡 将来「名義預金」と疑われないための生前贈与の対策
親から子へ、生前に確実な「贈与」として財産を渡しておきたい場合は、以下のポイントを徹底しましょう。
- 贈与契約書を作成する:お互いに「あげる」「もらう」の合意があった証拠を残す
- 名義人本人が管理する:通帳や印鑑は子供自身が保管し、自由に使える状態にする
- 贈与税の申告を行う:基礎控除額(年間110万円)を超える場合は正しく申告・納税する
A子先生からのアドバイス
良かれと思って子供名義でコツコツ貯めていた預金が、後から相続争いや税務調査のトラブルの火種になってしまうのは、とても悲しいことです。
ご自身の名義だからといって安易に引き出して使ってしまうと、他の相続人から不信感を持たれる原因にもなりかねません。まずは通帳の履歴やお父様との生前のやり取りを振り返り、実質的にどちらの財産と言えるのかを冷静に見極めることが大切です。
遺産分割協議書の書き方や、相続税申告における名義預金の取り扱いについて少しでも不安な点があれば、いつでもお気軽にご相談ください。
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